エリオット・ペレスのたとえばの話

 たとえば人類が滅亡したとする。だが滅亡と言っても全滅したわけではなく、数人の生き残りが存在している。ここではその生き残りを八人に設定する。その生き残りは神様が残しておいた方が良いと判断した選ばれし人間であり、今後また人類を繁栄させる使命を背負っている。――え、再度の繁栄を頑張らせるくらいなら元いた人類をもっと大切にしろって? いや今はそういう話は置いておいてくれたまえ。
 
気を取り直してここで本題。人類の生き残りとしてふさわしい人間の特徴について考えましょう。なお環境についてだが植物や家畜等の動物は都合良く滅んでいないこととする。電力もあり研究施設なんかも問題なく使える。――という問題を突然ぱっと出されたとしたらあなたならどんな人物がふさわしいと考える?
 
疫病などで人類が次こそ全滅しないように病気を防いだり薬を用意したりする能力のあるひととか健康的な食事を安定して摂取するために畜産の知識に富んだひととかが最低でも三人以上はほしいなぁとか、そういったことを考えたひとは真面目さん。出てきた問題を素直にこなせるひと。
 
八人の生き残りってところや動物は生きているところを聞くとなんだかノアの方舟にインスピレーションを受けたみたいだな、でも都合の良い環境を考慮すると大洪水が起きたわけではないのか? とぶつぶつ言っているあなたは少々学はあるけど今回の論点からはずれている。たしかに受けたけどね、影響。あとご都合設定については触れてはいけない。わかったね?
 
とりあえず見た目や性格や思想が自分好みのひとが残っていたらいいなぁと考えたひと。たぶんあなたの考えたことは模範解答ではないけれど、わたしはとても共感できたよ。
 
そこで「ワタシが無限に生きる前提で話をしても良いか?」とのたまっているエリーズ・ヴォードはお静かに。八人のうちひとり確定しちゃうじゃないか。きみがそう考えたいのならそれで構わないが本当にまったくぶれないよね、きみってやつは。
 
なに? そういうわたしはどういったひとが生き残るにふさわしいと思っているのかって? ……うーん。難しいね。とてもむずかしい。八人という定員さえなければ好き勝手言えたんだろうに。悩ましいね。
 
まぁなにも言わないのはここまで付き合ってくれたひとに悪いからわたしの意見も言うけれど、そうだな……。地球を宇宙から見ると青と緑が主だったりすることとか、時間による空の色の変化とか、愛は目には見えないけど努力次第では触れることも可能な代物だということをちゃんと後世に残せるひとがいてくれたらいいな、と思うよ。
 
地球の色も空の色の変化も大抵のひとは知っているだろうって? そうだろうけど、知っているだけじゃダメなんだよ。ちゃんと後の世代や後の時代にしっかり伝えていけるひとが必要って話。なんていうかなぁ、当たり前を当たり前で終わらさずにいてくれるひとが必要だと思うんだ。

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